アンネ-Anne-

わたくしの国。わたくしの民。そして何よりも愛おしいわたくしの娘。
愛と慈しみに溢れるわたくしの世界。何よりも大切な、わたくしの宝。
貴女にその宝を譲る日を、母はとても夢見ていました。けれど――。
貴女自身が心からこの王冠を欲しなければ、何の意味もない。
この儀は通過儀礼などではなく、貴女が心と向き合うためのもの。
全てを終えた時、貴女が守りたい宝は何か。どうか教えて下さいね。

Character

何よりも国を愛する女だ。ファラという国を愛し、その国に住まう民を愛し、国に息衝くすべての生き物を愛する。そうしてアンネも又、民より慕われ、十ほど年下の王配に愛されている。アンネが女王に即位するための戴冠式の折、その王冠にあしらわれた「人魚の涙」の美しさに多くの民が嘆息をこぼした。翠色が強い蛍石の輝きは、彼女の聡明さの象徴のようであり、彼方の観衆の胸をすら躍らせた輝きはこの後の平穏を約束するかのようであった。事実、即位より凡そ半世紀──ファラ国は如何なる災厄に見舞われることもなく、人魚族たちは大海にて平穏なる日々を享受している。嘗て国民が期待したようにアンネは賢王と称されて然るべき立派な執政者となり、日々「宝」と称する民と国のために心を砕き続けた。そんなアンネに、新たな宝ができたのは今から十数年前のこと。長く子を成すことのなかったふたりのもとに、新たな命が宿った時のことである。懐胎を知ったとき、アンネは喜びに涙し、そしてその刹那安堵の息を漏らした。嘗て喪ってしまった恋──その時はもう二度と斯様に誰を思い慕うことなどできぬと思った。けれど、それは杞憂となり、斯うして新たに愛を誓ったひととの間に命が芽生えたことを心から幸福に想えることができたのだから。屹度自らが選んだ道は間違っていなかったのだと、漸く確信できたのだ。国への愛も、民への愛も、家族への愛も。すべて、真実の愛であると胸を張れるようになった。そののちは、其れまで通り女王としての責務を粛々と熟し民へ平穏を与える一方で、一人娘に抱えきれぬほどの愛情を注いだ。一人娘が儀に臨む際には、女王ではなく母としての顔を見せ、懐古の情を瞳に宿しながら、彼女に「心」を大切にするよう静かに伝えた。

Sample role

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