御舟 茉莉-Matsuri Mihune-

あたしがハイヒールのモデルって……まじで?
スニーカーとかのがよっぽどキャラに合うと思うんだよね〜〜!?
……でも、そんなあたしでも、『女の子』にしてくれんの?
その靴が、……………あいつが?
〜〜っ、ちょっと色々期待しちゃったのが悔し〜……!!

Character

身長は高くない。惹きつけるようなオーラも無い。ショーモデルとしての才も華もまったく無かった凡人たる御舟へ、けれどもただ一つだけ与えられていたギフト。それは時に清廉に、時に妖艶に、あらゆる宝飾品を引き立て輝かせる、長く美しい手と足だ。ひょんなことからデビューを果たしたものの、最初で最後となるはずの仕事が大成功。引くに引けず今では立派な売れっ子パーツモデルへと成長を遂げた。少女自身はそれを鼻にかけるでもなく、何なら時折疎ましくも思っている様子。高みでちやほやされるより、肩を組んで笑い合う方が好ましいとの思考が土台にある為かパーソナルスペースは狭く交友関係は広め。淑やかさに欠ける分を気さくさで補い、喜怒哀楽は年相応より少し幼さが勝る程にしっかりと顔に出す。良くも悪くも嘘がつけないタイプ。そして何よりも少女を印象付けるのは――趣味、走る事。特技、走る事と公言して憚らない、走るの大好き人間であるということだ。御舟の手足を業界の宝とするならば、陽の下で思いきり大地を蹴ることは御舟にとっての鼓動で、呼吸。生きる上で絶対に譲れないもの。屋外競技ゆえに商売道具たる手足に日々細かな傷は絶えないものの、少女にとっては些末事。たとえ宝が欠け、曇り、傷つこうとも、死んでしまうよりましだろうとの説得を以て今の所は自由にさせてもらっている。説得というよりは幼子が手足をばたつかせて地べたを転がるような、目も当てられぬ幼稚な駄々を捏ねたという方が正しいのだけれど。勝手を言っても貫き通す事の少ない少女にとって、それは最大のわがままであった。

Sample role

(スポットが当たる度。シャッターを切る度。煌きを纏った手元は表情を変えて、まるで自分のものでは無くなっていくみたいだ。淡いブルーやグリーンのストーンをメインにあしらわれたリングと華奢なブレスレットがきらきら光るのを見下ろしながら、いつも通りの感想を胸に抱く。――今日の撮影は夏の新作ジュエリーが主軸で、手元以外気にかける必要も無い。トップスこそカッターシャツからオフホワイトのシフォンブラウスに着替えはしたが、下は制服のプリーツスカートのまま。小物が配置されたテーブルより下、スニーカーで包んだ爪先を立てたり揺らしたりと持て余した足で遊ぶ仕草は落ち着きのない幼児のようでいながら、指先まで意識を通した“女”の手は机上のカップに添えられたり指を絡めたりと軽やかな色香でファインダー越しの目を惹きつける。)――……お疲れ様でした〜!(絶え間なく降り注ぐシャッター音はやがて止み、撮影は無事に一段落。スタッフへ此度の主役たるアクセサリーを返却しつつ、次の撮影に備えて一息入れようと壁際に設置されたパイプ椅子に移動したところで先客の存在に気付いたなら、そのかんばせに喜色が満ちる。)ふーかさんだ〜!久しぶり!(事務所の先輩たるその人へ親愛込めた笑みを浮かべ暫し雑談に花を咲かせよう。聞けば彼女は彼女で撮影があったらしく、通りかかったので寄ってみたのだという。途中、ワントーン下げて囁かれたのは「サウネハウ」という新ブランドが近々イメージモデルとして男性アイドルに声をかけるらしいとの噂。「ブランド自体がロマンチックなモチーフだし、ストーリー性とか恋愛色強めの広告出していくんじゃないかな〜って噂だよ」との一言も添えられたものの、返せたのは「すごいな〜」とのあまりにあっけなく味気ない一言。)えっだって、恋とか愛とか縁の無さナンバーワンだし……。もし話持って来られても断っちゃうかも。女の子らしいモチーフとかも全然似合わないんだもん、それにそういう色っぽい仕事はふーかさんこそぴったりじゃん?(付け加えるなら、華奢で女性らしさを強調した歩きづらい靴よりも、ごつくて安定した疲れない靴の方が己としては余程好ましい。当然のように言い放てば、苦々しい笑みが返ってくる。「走りやすさ重視か〜。」)勿論!!……そういえばその男性アイドルってもう決まってるのかな?誰なんだろ〜!普通に気になる!(未定なのか未発表なだけなのか、ともあれ現状ではまだ詳細不明と聞けばまるで自分には関係ないとばかりに燥いだ声を上げた。互いに好き勝手にあの人だ、いいやあの人だ等と予想を立てていれば時間もあっという間で、程無くして次の撮影が始まる気配を察知すれば小さな女子会はお開きだ。再びカメラの前に向かう最中、男性アイドルと聞いてその実真っ先に思い浮かべながらも名前を出さなかったその人のことを考える。それからやっぱり、その靴のモデルを自分が引き受けることは無いだろうとも。――恋を纏う靴。誰かを想う気持ちをぎゅっと閉じ込めたとびきりの一足。爪先を通すことがあるならそれは、唯一人の為が良い。)