白雨
--焦がれあった連星の紡ぎ--

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(勝利をつかみ、探すはただ一人)
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茂庭要
(いつだって試合は緊張するものなのだが、今日も今日とて青根は気が付けば他校の選手をロックオンしたとばかりに鋭い眼光を投げ。二口は飄々とした態度で味方の鎌先も敵も煽る。それらを治める、宥め、目の前の事に目を向けさせてコートへと向かう。開かれた会場の中で普段の視線よりも上に掲げられた「伊達の鉄壁」の文字を見て奮い立つ思いのまま、試合に挑む)伊達工…ファイッ!(応える声と一歩出す足。何時ものように応援を背に試合へ移る。チームメイトに比べると小柄な自分でも、ブロックに入ると狙われるのは必然。だが伊達に鉄壁と呼ばれる場所で主将を張ってはいない、と誇示するかのように相手のボールを止める。それを拾う相手の技量もまた凄いが、何度でも立ちはだからんと、跳ぶ。何処かの主将は叩くなら折れるまで、なんて言っていると聞くがある意味うちの後輩も言っている程だから合っている言葉なのかも、なんて思うのは何人かのスパイカーが諦めた現場を見たことがあるからか。悪いと心の隅はじくりと痛むが、試合は試合。当然ブロックが得意だからといって、その他が劣っているなんて言わせない。攻めの姿勢をみせるチームメイトが相
手の壁に邪魔されずに、突破できるようにトスを上げる瞬間、微かに霞んだ視界に驚きながらもトスをあげた後、数回瞬きをすることで解消されればただの疲れ目だと判断し視線を音の方へと向ける。最後に上げたトスが決定打となり、勝利を勝ち取れば決めた同輩の背中を叩くとお返しとばかりに髪をかき混ぜられる。そうしてもみくちゃにされる同輩の姿に思わず笑みも浮かぶが、試合は終わったのだ。)ほらほら、挨拶!(そう言って一列に並ばせて相手校と挨拶を交わし、やいやい言いながら戻る途中、彼女が応援に来てくれると言っていたから視線を動かして彼女の姿を探す。そうして彼女の姿を真っ先に見つければ居てくれた事に勝利した事と共に嬉しさから笑みが零れて、チームメイト達に言えば「ごゆっくりー」なんて言葉に軽く返事を返してから少し小走りで駆け寄って)亀井さん、来てくれたんだね。ありがとう(試合中はコートを挟んでの目の前の相手しか意識する事は叶わなかったが、彼女が応援に来てくれていたならと少しばかり惜しい気がしつつも笑みを浮かべて)一人?それとも、応援してた人達と一緒に来たの?(大きな声で応援してくれる彼らにはいつも感謝しているが、彼女の返答次第では共に帰ろうと誘うつもりで僅かに首を傾げ)
Published:2019/06/11 (Tue) 23:31 [ 11 ]
呼んでくれたらいつだって飛んでいくけど?
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亀井澪桜
(伊達の鉄壁。弾幕に雄雄しく踊る文字の所以を瞳に刻みながら、娘の視線はただ一人へと注がれる。高身長の選手たちより繰り出される、リードブロック。他校より”ブロックを主軸とした高校”と称されるに相応しく、相手チームのスパイカーが高く飛ぶたび、それを凌ぐ高い壁が選手の前へと立ちはだかる。ブロックの精度は他校の追随を許さず、最強の盾は瞬時に最強の矛にもなりて、相手チームのコートへダンッと鈍い音を轟かせた。けれど、鉄壁と称される所以は部員たちが単に優れた技術力を持しているだけではないと思う。個々が優秀であっても、集団としての力が無能であれば、それは単なる烏合之衆。容易く瓦解することは明白だ――一枚岩としてしっかりと部員たちが結びつき、互いへの信頼の上、群としての力を把持しているからこそ鉄壁という二つ名を自ら名乗ることが許されるのだ。その中心、整えられた指先にて軽やかにボールをあげる一人の青年。贔屓目であることは重々承知であるものの、名は体を表すという木庭のとおり、伊達工業高校のチームの要は彼以外には考えられなかった。)頑張れ。茂庭。(傍らより時折激しく猛る期待の大型新人の声に紛れてしまうほどの声量ではあったものの、確かにその名を呼んだ。ボウタイフリルブラウスは清楚さを演出する白を選択し、伊達工業のチームカラーの緑を意識して淡いカーキの膝上丈チュニックを合わせる。足元にはウェッジソールのサンダルで彩を添えた気合の入った井出達は無論、試合後に彼との時間を得ようという決意よりの派生品。試合終了後に傍らより聞こえた恐らく相手チームの関係者であろう「伊達工、今年は不作とか言ってたくせに、全然じゃん。」なんて呟きには、ふふん、と人知れず胸中にて胸を張るも一瞬。耳朶へと娘を呼ばう穏やかな声が触れたならば、小さく手を振りながら青年の元へと歩みを向けた。)お疲れ様、茂庭。もちろん、大切な試合だもん。緒戦突破、おめでとう。(誰よりも先に。一番に、青年へと伝えたかった言葉を紡ぐ。次いで尋ねられた問いかけには、口角をゆるりと持ち上げて。)行きは、坂井さんと一緒に来たんだけど、彼女これからデートだっていうからさっき別れて今は一人。どうやって帰ろうかなって考えてたところ。茂庭は?この後、学校戻ってミーティング?それとも。時間あったりする?(直截的な言葉を紡がないのは、好きな人から誘われたいという恋する乙女の願望の裏返し。期待を瞳に滲ませながら、窺うように青年へと視線を差し向けた。)
Published:2019/06/13 (Thu) 16:58 [ 19 ]
え、それは嬉しいけど…俺の事も呼んで良いからね?
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茂庭要
(此方の声で気付いて貰えたようで、軽く手を振る彼女に手を振り返しながら距離を縮めて行く。普段見慣れた制服と違う服装なのは遠目からも分かってはいたけれど、互いが近くに寄れば次第に見えてくる装いが彼女の雰囲気に合った出で立ちで眩しさを感じる。どう伝えれば良いのかと考えて考えて、真っ先に出たのは「その服装、亀井さんによく似合ってるね」という当たり障りのない言葉。自分のあまりの語彙力のなさに心のうちで泣きたくなったのは内緒にしたいところだ。)うん、ありがとう。大切な試合、か。そう言って貰えるのは嬉しいな。俺にとっても…今年の3年はインターハイで引退って決めてるからさ。だから一試合でも多く、あいつらとバレーやりたいから、次も頑張るよ。(彼女の労いの言葉には嬉しさから頬を緩め、次の試合も彼らと勝利を手にする瞬間を思い描いて拳を握る。そうして自身の問いかけに対する答えを聞けば、何とも此方にとっても良いもので、つい口角が上がる。)そっか、今日は着替えたら解散の流れだから……ちょっと待たせちゃうけど、良かったら一緒に帰らない?今日、応援してくれたお礼に送ってくよ(何かを期待されているらしいというのは分かるけれど、果たしてこれで正解だっただろうか?なんて不安に思うのは自分の願望が混ざっているからだ。もしも彼女が了承してくれたなら待ち合わせ場所を決めてすぐに着替えに戻ろうか。着替えている際に同輩と後輩からの揶揄であったり、応援であったりと様々な声がかかる。「この後デートするならさっさと行きなよ」なんて声をかけられれば「ちがっ、デートとかじゃないから!」と咄嗟に返す。恋人でもなく、友人の立ち位置にいる自分がそう言うのはやはり憚られるも、心が浮き立つのは彼女と共にいれることが要因だろう。着替え終われば浮き立つ心のまま、彼女との待ち合わせ場所へと急ぎ足で向かい、待たせてしまった事を詫びよう。)
Published:2019/06/16 (Sun) 23:22 [ 30 ]
ふふ。ヒーローみたい。 頼りにしてるからね?
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亀井澪桜
(好きな人のために自分を変える――なんて、殊勝なことはしないけれど、自らの嗜好の範囲であればなるべく好きな人の好みを反映したいと思うのが乙女心というもの。前回の語らいに於いては「頑張り屋」という性格に関する好みを聞き出すことに奏功するも、見目や香りの嗜好に関しては未知数。ゆえに、青年の性情からその嗜好を予測することに努め仕上がった此度の様相。フレグランスは控えて、代わりに清潔感の代名詞たる石鹸の香りを纏わせた。そうして、視線と視線が交錯して、一拍。仄かに覚えた緊張は崩した相好の下に隠すも、“似合っている”の言葉を賜れば、ふつりと湧出した安堵に眦が緩んだ。「でしょ。」なんて唇からこぼした音は、どこか嬉しげ。)そうやってひとつずつ、真摯に向き合うとこ茂庭らしいね。私も、茂庭たちがバレーしてる姿、ひとつでも多く見たいから、うん……次も、勝ってね。また、次も応援するから。(裏も表もない心からの言葉だった。青年の所作に釣られるように、娘も自らの掌を握れば、試合が終わったばかりというのに次への鼓舞を紡ぎだして。また次の約束を取り付ける。さて、未来は勿論であるが、今も当然大切。紫苑の瞳に滲ませた期待は、青年の言葉によって喜悦へと転じ、嬉しげに持ち上がる口角は上機嫌であることを如実に示した。)いいよ。じゃあ、野外階段のところで待ってるね。(声音すら楽しげに。送り出す背を見詰める瞳には、あまやかな恋情が宿った。そうして踵を返して向かうは女子化粧室。鞄よりメイク道具一式が詰められたポーチを取り出して、自分なりに精一杯の“可愛い”を作り出そう。ミストで肌に潤いを、ブラウンのアイブロウで柔らかさを。そして、コーラルピンクのルージュを唇へ。待ち合わせに到着したのは、凡そ10分後。そわり、と浮き立つ心地は爪先と踵を交互に浮かせた。合流の後、謝罪を告げる音が耳朶に触れたならゆるく首を振って。)全然、待ってないから大丈夫。(なんて、他愛もないやり取りがドラマや漫画でよく見る、デートのときのテンプレのようで小さく笑った。)まっすぐ帰る?それとも、寄り道する? カフェとか……、お腹がすいてるならファミレスとか。(デートみたい、を、デートにしたくて。ゆるく首を傾げ提案をひとつ。)
Published:2019/06/18 (Tue) 11:38 [ 34 ]
そうかな?でも、頼りにされるなら全力で応えるよ
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茂庭要
(彼女にかける言葉が間違っていない事を彼女の反応から察すれば安堵して「うん、可愛い」なんて言葉がさらりと出て固まった。嘘ではないが、流石に調子に乗りすぎただろうかと彼女の様子を伺って。)そうかな、ありがとう。…うん、亀井さんが応援してくれるなら、沢山応援して貰えるようにしないとね。……次も、その次も勝って、亀井さんの応援を沢山聞きたいな(今回の彼女の応援は我が部の大型新人であり自分の後を任せることになるであろう後輩の声に隠れていたが、確かに聞こえた。その声をまた聴きたいと思うのは、我儘だろうか。)うん、出来るだけ早く着替えて来るから…その、またあとでね(送り出してくれる彼女の声に、自然と緩む頬を隠さずに走り抜ける。着替えを早々に終えれば部員の「頑張れよー」「明日は直前にミーティングな」なんて声を背にして駆け出せば、彼女の待つ場所へと一直線に向かう。そうして待たせた彼女への謝罪に対しての応えを得たなら安心したと言わんばかりに笑みを浮かべて)ありがとう、そう言って貰えて良かった。(安心したのもつかの間、先程までとの雰囲気に違いがあるように思えて僅かに首を傾げる。可愛らしいのは変わりはない。ただ少し色がついたようなとは思うも確証を持ってはいない。それでも、彼女の微笑んでの答えに此方も小さく笑って。)そうだな、亀井さんさえ良ければちょっと寄り道して行かない?良い所があるかは分からないけど、亀井さんの好きそうな店とかあったら教えて?(彼女の誘いに乗る事にしたのは良いけれど、彼女の好みと思えるような店が果たしてあったであろうか。無ければ無いでファミレスになるだけだが、希望としてはあって欲しい所だ。)
Published:2019/06/19 (Wed) 23:52 [ 39 ]