月島 蛍-Tsukishima Kei-

よく言うよね。恋は盲目ってやつ。
どっかの単細胞達とは違って、僕には関係無い話だと思ってた。
………ねえ、分かってる?君のせいなんだけど。

Character

人は見た目に寄らないとは言うけれど。見目から与える印象を余程上回る鋭利な言葉の数々は、意図して選び取っているのだから甚だ性質が悪い。物理的にも精神的にも他者を上から見下ろし嘲弄する事を良しとする性格はお世辞にも良いとは称し難く、据える双眸に覇気は凡そ見出せまい。端正な唇から淡々と紡がれる声色の大半は絶対零度にも等しい冷ややかさで、歳の割に達観した印象を与えがちなのは斜に構え捻くれ捩れた性根が所以に違いない。可愛げの一切を放棄した冷酷冷淡且つ理性的なスタンスは一方で熱血を厭うものの、狡猾な思考回路を以てした想定を飛び越えて来る予想外には殊に弱い詰めの甘さは或る面で年相応。男なりの矜持ともイコールで結ばれる冷静さは自他問わぬ客観視に長けるものの、時にそれをも超える負けず嫌いは余裕ぶった仮面の由来でもあり、秘める熱情の発露は特に不得手である。お世辞にも褒められたものではない性分ながら現今支障来さぬ人間関係を保持しているのだから、極端に捻じ曲がった性分の持ち主か、好ましい人間ほど虐めたい思春期男子の特徴か、大人びて居ても結局のところ発展途上の高校生男子には違いない。

Daily

…………──(ガン無視。淡々と身支度進める様は、外界隔てる見えない壁を意図して作り上げていたのだけれど。)……あ、僕に言ってる?(白々しく無感情な音を乗せながら、白けた視線放るは「なあ月島〜!」、終ぞ痺れを切らしてご丁寧に名指しを手向けてくれた傍迷惑な級友に、だ。)関係無いし興味ない。(切れ味を自覚して微塵も考慮しない物言いが常に変わらぬ冷淡であるのは、クラスメイトたる彼らの距離感を知っているから敢えての話だ。枯れてるだのそれでも男子高生かだのと野次めいたブーイングが飛び交えば、喧しさに眉間へ皺が寄る。「ツッキーはなぁ!」突然カットインする幼馴染の姿に眉間の深度を増しながら「黙って山口」「ごめんツッキー!」意図せず漫才の如く身馴染んだ応酬挟んでは、はぁ、と態とらしい溜息ひとつ。)“僕に恋人が居ようが居まいが君たちに”関係無いし、“君たちのそういう噂話にこれっぽっちも”興味ない。(わかった?とでも示すように感情の希薄な双眸が見下ろせば、興味の矛先は今に別へと移り変わる目算、だった筈だけれど。「え!月島彼女いんの!?」、想定外に食い下がられてはこれまた露骨に表情が曇る。鬱陶しいと言葉にせずとも態度全身が示しているくせ、それが常であれば周囲も慣れてしまうは道理だった。コミュ力馬鹿ばっかりかこの学校は。)だから関係ないって……(言ってるデショ、と、怪訝含ませた語調が皆まで紡がれる事無く、「マジ!?」「誰誰!」突き放したつもりが話題の火種を放ってしまったと理解すれば面倒臭さに眩暈を覚える一瞬。表情筋は変わらず別段仕事をしている訳でも無いのに、うるさいなと額あたりに貼り付けんばかりの不機嫌が胸中で身動ぐ。わくわくと心待ちにする視線を受けながら、)………居なかったら何。(必要以上に刺々しく放った語調はともすれば負け惜しみめいて聞こえてしまったやも。「なんだいないのかよ〜!」だのなんだのと自分勝手な落胆に相対しては苛立たしさに何度目かの溜息が唇を跨いでゆく。行くよ山口、と、控える部活へ爪先向ける手前にて、)まぁ、君達と違って今はいらないってだけだけどね。(フ、と、小馬鹿にした性悪な微笑手向けてはこれ以上の面倒が広がる前に退散。背中に聞いた「あいつムカつく!」はそれこそ負け惜しみだから漸く意趣返し成功の心持ち、よもや男が淡い慕情を飼い慣らしているなど誰にも悟らせる心算は皆無ゆえ、今日とて想いの全てを煙に巻く。)