狙うは全国セイハ!!つまり最強イズ俺!!!
ちゃあんと俺の背中見て………いや前も見て、
チョー格好良いところにめちゃめちゃに惚れさせてやっからさ。
もうちょっとだけ、待っててくんね?
Character
髪色も瞳の虹彩も濃灰ベースに黒をもたないやや色素の薄い色合いはされど儚さとは無縁の男、木兎光太郎は名の通り光の如き明るさとその熱量を保持している。当人が余りにも大きな光源である為に周囲に与える影響力も膨大で、我が強く自信過剰の性情相まって、奔放過ぎる感情表現に振り回される人間は自覚のあるなしに関わらず多い。されど、裏表なく臆さず隠さず剥き出しの自我は、気さくな人懐っこさと豪快な甘えん坊を大いに曝け出し、どことなく漂う少年じみた純粋さがある種の諦観とともに許容されることが屡々。憎めないキャラとしての主成分は特に本人の性格にあるが、バレーにおいては実力で黙らせられることも事実。調子が良ければと不名誉な前置きあれど、高校バレーにおいて片手の指で数えられる優秀なスパイカーとして名を馳せる。夜闇の中ですら縦横無尽に狩りをする梟も斯くやの人並み外れた動体視力をはじめ、短所紛いの個性37余りを披露しながらコート上での"最強"を体で表すエースである。睨め付ける眼差しは常に前方を見、嘘偽り誤魔化し無しの単純さは良くも悪くも日常とて変わらない。有り余る情熱を向ける先はたったふたつ。「勝利」と「恋」、身近なはずの少女に今だ手を出さぬ理由に明確な計画はなく直感由来で機を待つが、獲物に爪を立てる瞬間は猛禽類が如き独特の判断が働くらしい。明るい未来を夢想しつつも決定打は与えないまま、ただし正直なひかりは真っすぐに彼女だけを見つめている。
Daily
(ざわめく学び舎、賑々しさは元気の良いこと。昼休みの歓談は統一性なく皆好き勝手、腹もくちくなれば後は思い思いの時を過ごす。その中でも一際けたたましく聞こえる教室のひとつ、鳥籠じみた部屋の中には特徴的な雄叫びが響き渡る。)ヘイヘイヘーーイ!!おっれの勝ちーー!!!(仲間内、一等最初に手札を空にした男のご機嫌な声が響く。トランプゲームに興じていたその場を見渡して満足そうに勝ち誇った笑みを顔貌に刷く。勝ち取った栄光は報酬としていの一番に近くに積上げられていたスナック菓子のひとつに伸び、ポテトチップスを選び抜けば小躍りどころか至宝を手に入れたとばかりに高々と仰いで悦に浸った。恍惚そうな満面の笑みにはたかがポテチ、されどポテチの恩恵と何より大好きな“いちばん”を手に入れたことが大きい。円かな金茶の瞳は表情豊かに開閉して、続く二位三位決定選を続ける仲間たちへと向けられる。頑張れ頑張れ。やれ!そこだ!トランプにかける応援としては全く意味のない野次を軽やかに投擲しながら、戦局をさも真面目そうに眺めたかと思えば、気まぐれに意味深な頷きをして心理戦の真似事をする。如何せん己が実際に対戦している時には余裕がなくて出来ないことが多いわけで、スンと無くした表情でポーカーフェイスを浮かべて見せれば同じく観戦していた友人から笑い混じりに小突かれもする。似合わないって?そりゃーそうだろ!なにせ愛する部活の後輩を思い浮かべて捻り出した無表情だったわけだが、残念ながらここには彼を知るものは居ないし、生憎顔に出さないように気張ると変なところに力が入る気がしてものすごく疲れもする。)なあなあ、ちょっと耳貸して。(はたしてトランプの方は膠着状態、まだあと少しは待ち時間となることを見越しては手持ち無沙汰イコール暇が早々に興味の矛先を変える。最も近くにいた同輩の肩に寄り、こそこそと耳打ちしてみれば、ど?と首傾げた姿に応えたのは盛大な溜息と苦笑。続くは「今ァ?」の不満の声だ。)いーじゃん、いーじゃん!待ってる間だけさ、聞かせてよ!恋バナ!!(結局普通の声量で開けっぴろげにされた秘密はつまるところ「好きな子いる?」の問いでも投げたあたりだろう。興味津々、期待に輝く瞳ははじめて知った思春期の色に魅了でもされてしまったかのようだった。そんな男の熱量に気圧されつつも存外面倒みの良い同輩は、諦観まじりの溜息が乗り気ではない出で立ちながら付き合ってやると言いたげに、「じゃあさ」と口を割った。──木兎はさ、いないの?好きな人。)俺ぇ? ンー……ふふん、そりゃあもちろん……………居るよ。(勿体ぶってために溜めて、聞いて驚けとふんぞり返る。ややもして追随するは周囲の出歯亀交えての「誰!?」だが、話題の中心にいることが極めて心地好いとばかりに鼻も高々、こんどこそ「それは言えねぇな」の引き際見つけてしたり顔を浮かべよう。)隠そうってしてる訳じゃねーけど、まだ告るとかは早ェーなって思ってんの。だから秘密。(願掛けじみた話だが、勝利を持ち帰りその報告とともに思いを伝えることを決めている。故に揺らぎなど一分もない口振りで、寧ろ相手について明言せずとも言われてみればと合点がいくクラスメイトも居るだろう。何せ狙う花は身近に咲いているのだから。だっはっは!と言いたいことを口にして豪快に笑い飛ばしては、やれ次だお前か誰だと戯れに興じかけた刹那。待っていたゲームの終わりを告げる嬉し悔しの声が漏れる。もっかいやろ!の掛け声が延長戦を催促すれば自ずと話題は逸れていく。己が想いを暴露しただけに留まったひとときの恋バナは、微笑ましく育まれるばかりだが、やがて咲き誇る大輪の彩りを前に目の眩むような衝動と犠牲を伴って、選択を迫られることを未だ知らぬ穏やかな頃の話だ。)