それ以上の喜びも、それ以下の苦しみも、私はいらない。
…………嗚呼、ちょっと嘘ついた。
……ついでに、お前と話せりゃそれで、いいかなって思うよ。
松島 千歳
Chitose Matsushima
Profile/Data
誕生日│学年│身長│バストサイズ
宝石(石言葉)│印象色
故郷で暮らす折より、寡黙な娘だった。無愛想と言ってしまえばその通りで、まあニコリともせぬものだから笑えぬのではと付き合いの薄い相手や近所の人間の間で噂された事もある。けれども彼女がその瞳を輝かせる瞬間は確かにあった。――海を見て、そこに浮かぶ大きな船を見たときだ。幼子の様に瞳をキラキラと輝かせては祖父が贈ってくれた画材を手に、延々と絵を描いていた。その時ばかりは彼女も笑みを浮かべてすごい、すごい、と笑っていたという。今でも、故郷へ帰る機会があれば絵を描く度に、艦を見る度に穏やかな表情を浮かべている。女学校においては、海を見る機会はなくとも絵筆を握る機会はある、艦は描けずとも、世界を切り取れる、とばかりに空き時間には絵を描いている事が多い。なんというべきか、愛想もなければ口数も少ない故、些か気難しい質と思われているのか友人は少ない。かといって常に一人というわけではなく、友好関係は狭く深くと言った質。学級内で行われる最低限の意思疎通には一応問題はないものの、やはり愛想笑いのひとつすら浮かべられない少女である。気を許した相手ならば、絵を描いている間中傍に居る事を拒否しなかったり、松島の方から声をかけたり、些細な世間話をどうにかしようとしてみたり……と彼女なりの努力らしきものが時折見えるかもしれない。絵ばかりを嗜む彼女ではあるが存外、歌謡曲も好んでおり、実家にはレコードが何枚もあるのだとか。己が辿るべき道について、少女は否定もしなければ肯定もしない。ただ一つ嫁いだあとも絵が描ければいい、と殊、親しい友人に零したことも一度だけ、あったはずだ。
橋立家の次男坊。海軍軍人。寡黙にして真面目、よくも悪くも不器用な、軍人さん、といってパッと浮かびそうな雰囲気の男性。自分にも他人にも些か厳しい。浮ついた話は一切ないタイプ。橋立の家は松島の家と古くより付き合いこそあるものの、彼と千歳の間に面識はない。ほぼほぼ、生まれた折より決められた婚約の様なもの。父曰く、なかなか顔合わせの機会がなかった、らしい。ついで似合いじゃないか、とも言われたというが、さて。双方、婚約に関しては“そういうもの”と割り切っている節はある。……互いに仲良く過ごせるならば、幸い、とも思っている様だが。