恋に恋することも知らずして、如何して初めましての良人と添い遂げられましょう。
一時の自由なればこそ、最も蝶が美しく舞い、最も華は美しく咲くべきでしょう。
いのちみぢかし、こいせよおとめ。 そう唄ったものが、ありましてね。
あたくし、この唄がいっとう好きなのよ。
熱き血潮の冷えぬ間に、恋の蜜くらい啜っておかねば──、ねえ?

四賀 龍子 Ryoko Shiga

Profile/Data

誕生日│学年│身長│バストサイズ

1月1日生│高等女学校5年│160cm│C

宝石(石言葉)│印象色

ダイヤモンド(至高の輝き)│黒紅(#302833)

Character

今やご法度となった二輪挿の御武家から、細々として代々引き継がれ、漸う生き永らえてきた武家屋敷に住まう、華族の切れ端のような家庭に育った娘である。ここは剣術を教え、武士の時代には大層な豪華絢爛具合であったらしいが、それも刀の時代が終わり、武士がその存在を失いつつある最中で廃れていった。唯一として縋りつくように残したのは、真剣の代わりに竹刀を振るい習わす道場であった。この道場も相応の腕っぷしを輩出したが、如何せん、現代は刀よりも拳銃に重きの置かれるきらいがある。武士の心得云々を説き、道徳とはなんたるかを悟らせたところで、時代遅れとせせら笑う声の方が幾らも大きい世の中だ。時代が転じても猶、そこに巧みにして乗り込むことのできなかった、取り残された一角のような閉鎖的空間の中に於いて育った娘は、生憎として娘の代におのこが生まれなかった為に、娘が婿をとる形で道場を継続させていくことを決められていた。幾ら廃れようとも、人々からの誹謗中傷に近い視線を浴びようとも、自らの家紋に誇りを持ち続ける両親の願いは、これから先にも末永くして、この家の武士たる清らかな血が受け継がれゆくこと。そして、この屋敷と道場がなくならぬこと。──それを一身に背負った娘は、実に気高く、実に背丈が高く、実に気の強い娘であった。竹刀を握って振るえば喧嘩に負けたこともなし、華道や茶道ではてんでお転婆の気配ばかりを漂わせ、教えてくれるお師匠たちには金切り声をあげられてばかり。気分屋の娘は、家を継ぐことにこそ異議申し立てを行わなかったが、決して男性に対して一歩身を引き、その良人となるべく人の顔を立てるには、未だ世間を知らなんだ。故に預けられた女学院でさえ、しかし。異性を知る切欠がなければ、自然として興味は同性に向かう。──先だって告げたとおりの、気分屋で気の強いばかりの娘であるからして、興味を持ったものに取り組む姿勢に曲がりはみせない。真っ直ぐな竹刀のように、まさしく竹を割ったような性分の娘が。此度焦がす恋の熱は、軈て世界を燃やし尽くせるか。

Fiance

金ばかりが有り余った家の次男坊である。眼鏡は瓶底のように分厚く、学生帽を深々と被った書生姿を垣間見た折しか、未だ娘は顔を合わせたことがない。口数も多くはないこの男を、軈ては良人として支える未来を見れば猶、頼りない男であるが故に、婿養子として此方へ寄越すことを、先方も喜んで受け入れてくれたように思われた。──優しい男だ。しかし、竹刀を握るには如何せん、線が細すぎる男だ。女子のわりに背丈の高い道場の娘と並べば、その背丈は大凡一見すると差異もないように見受けられるほど。根の優しさ故に、喧嘩も出来ねば言い争うこともないだろう生活は、もしかすると最もの幸いだろうけれど。