私の世界は決められてしまっていて……とっても、窮屈なんですもの。
──ふふ。なんて、単なる戯れです。だからどうか、忘れてくださいね。
伊塚 幸子
Sachiko Iduka
Profile/Data
誕生日│学年│身長│バストサイズ
宝石(石言葉)│印象色
未来に夢見る少女は、いつの間にか夢を見る事を諦めた。幾ら夢を見ようとしたところで華族の娘として産まれた以上、決められた轍を辿るだけだと理解してしまったからである。逆らえないのであれば受け入れてしまえと両親の望むまま、思うままの良い子を演じて生きて来た。淑やかに、嫋やかに。華族の娘として恥じない娘であるように。切ってしまいたいおさげは、そんな優等生の象徴。未来に待つのは、周りの望むままの伊塚幸子の姿なのであろう。野原を駆け回り、自然と戯れ、そうして良い子を脱ぎ捨てたあるがままの自由を胸いっぱいに感じたいのが本心であったけれど、それは許されない未来。幼い頃に許される未来を、決められた轍を選択した少女は、あくまでも良い子であることに重きを置いて、自由でありたい本心は誰にも打ち明けた事がない。少しばかり茶目っ気を携えているのは、その本心の名残であるのかもしれないが。一度で良いから誰かに望まれる自分ではなく、自分の望むままの自分の姿に、──悪い子になってみたいと許されない願望を抱き続けていた。愛や恋は理解出来ない代物ではあるが、そんな感情の自由だって許されない世界。けれど誰にも打ち明けなければ、心の中だけは自由でいられる。それが、唯一持っている自由。故に、その自由を守る為にこそ伊塚幸子は今日も変わらず、御家に恥じぬ令嬢として強かな微笑みを携えて、一度だけ悪い子になる機会を伺っている。残された刻限は、卒業までの少ない期間のみ。果たして悪い子になることが叶うのか、それは誰にも分からない未来であった。
侯爵家の長男である婚約者は優しく心広く、頭も悪くはない。見目も然程悪くはないとくれば、まさに非の打ち所のない青年だ。唯一の難点を示すなら、女性に対して少しばかりだらしのないところだろう。そのことに関しては青年の親も手を焼いているようではあるが、独身である時間を有効に使いたいと反省する兆しも無く。そんな青年ではあるものの、前述した通り他の点では何一つ文句の無い男であるのだから、伊塚幸子の両親も多少の行き過ぎた噂話には目を瞑り、これ以上のない縁談であると語っている。